【極上の結婚シリーズ】ママになっても、御曹司に赤ちゃんごと包み愛されています
なにげなく会場に視線を向けると、若くてきれいな女性の姿が目立った。

高級そうなドレス姿や華やかな着物姿の女性たちはみんな、容姿も整っていて美しい。

「実はね、今夜のパーティーは樹の花嫁候補探しのためなの」

奥さまはこっそり、私に耳打ちをした。

「え……?」

「樹ももう二十七でしょう? そろそろ結婚を考える年齢だから、私が選りすぐりの女性を集めてみたの。みなさん申し分のない家柄の才色兼備よ。もちろん樹には内緒なんだけどね。勝手なことをすると、あの子すぐに機嫌を損ねるから」

良い家柄と才能、美しい容姿――天涯孤独で平凡な私にはどれもないものばかりだった。

けれど犀川家のひとり娘である奥さまも、家を守るために旦那さまと結婚したのだと以前に言っていたし、いっちゃんもこういった花嫁候補探しは自然な流れかもしれなかった。

「あちらにいる赤いお着物の女性、犀川グループと密接なつながりのある企業のお嬢さんなんだけど、さっき樹ととてもいい雰囲気だったの。彼女が今、私のイチオシかしら」

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