【短編】乙女戦隊 月影〜Dead Or Alive〜
「わてら昭和世代には、考えられん話ですわ」

ポケホウダインは、ピンクの攻撃を避けた。ハンマーが廊下に突き刺さる。

「昭和世代?嘘つけ!携帯は、昭和にはない!」

ブラックが、ポケホウダインを指差した。

「嘘ちゃいまっせ!疑うんでしたら、後ろの製造番号を…」

後ろ姿を見せたポケホウダインは、はっとした。

「あかん!あかん!騙されるところでしたわ。フタ開けて、わての電池抜こうとしても、そうは問屋が卸しまへん!」

「くそ!」

ブラックは悔しそうに、拳を握り締めた。

「ほんま…今の若い子は怖いですわ。店では甘えてくるのに、外では無視でっせ!ほんま〜泣けてくるわ」

画面に涙が映るポケホウダインを見て、あたしはあることに気付いた。

「あっ!あたし…携帯止まってる!」

その言葉に、ポケホウダインは愕然とした。

「な、なんやてえ!!」

「ブルー。あたしの携帯にかけてみて」

ブルーが携帯を取り出し、かけると、

「お客様のご都合により〜」

とアナウンスが流れた。

寒い空気が一同に流れた。

「な、なんちゅうこっちゃ!なんでや!なんで払ってないねん!つながらない携帯なんて〜電話ちゃうやん」

肩を落とし、落ち込みポケホウダイン。

「ごめん」

少し申し訳ない気持ちになった。

だけど!

「今よ、みんな!ピンクも揃ったし、初めて合体技が使えるわ」

あたしは、嫌がるグリーンも流され安いピンクも無理やり、円状に集結させ、野球の始まりのように、お互いの手を重ねさせた。

「くらえ!月の力を!乙女フラッシュ!」




しかし!

技が発動しない!? 

「え!どうして」

「乙女パワーが足りないんだ!」

ブルーは気付いた。

「どうして!みんないるのに」


戸惑いの中、ゆっくりとブラックが手を抜いた。

「ブラック?」

俯き、顔を背けるブラックは、衝撃的な事実を告げた。

「今まで、みんなを騙していてごめんなさい…。あたし」

ブラックの瞳から、涙が零れた。

「男なの」
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