ライオン王子に飼われたネコさん。
まるで昼のワイドニュースのような内容に面白くもないのに笑いが込み上げてきた。
それが真実か嘘かは分からない。
本人に聞けばいい話だった。
けれど、もう何度目かになる報道にこれ以上何を聞けばいいか分からないし、今回に限っては聞きたくもないとさえ思う。
パスポートを机の上に置き、空っぽだろう冷蔵庫を開けて何もないことを確認してコンビニへ向かった。
仕事が早いことで件の週刊誌はすでに発売されており、それを買ってから二十四時間営業のマンションの地下にあるスーパーで朝ご飯の材料を買って部屋に戻ってきた。
週刊誌には昼に見たゴシップ誌とやはり同じであろう女性がレオと一緒に、このマンションではない家の中に入っていく瞬間の写真。
それが本当にレオの実家かどうかは分からない。
なぜなら、真白は行ったことがないから。
大企業の御曹司なので実家は豪邸だと聞いているくらいで、一体どんな実家なのかは写真ですら見たことがないので判断しかねるが、週刊誌の写真に入りきらないほど大きな家ということは信憑性は高いのかもしれない。
真白はハッと嘲笑し、週刊誌をゴミ箱に捨てようとして鞄の中に入れた。
もしもこんなものを見られて仕舞えば自分だけが彼に関心があると思われるような気がして心底嫌だった。
荷造りの終わったスーツケースを蹴飛ばしたい気持ちを抑え、ふと、この部屋のどこかに自分のスーツケースがあることを思い出した。
自分のマンションは狭くて邪魔だからと前回一緒に旅行に行った時に置いて行ったのだ。
前回といっても随分前なのだが。
空き部屋のクローゼットを開ければ真白の実用性重視なスーツケースは健在していた。
十一月一日の深夜。
七瀬真白、二十七才はもう待つことに疲れてしまった。