ライオン王子に飼われたネコさん。

薄暗いが慣れた道を迷いなく進む。

電車に乗り、乗り換えの駅でなるべく上を向かないようにしていたのに、そこかしこにあるデジタルサイネージは嫌でも目に入ってしまう。

それは今度彼がアンバサダーを務めるハイブランドの広告だった。

当たり前のことながら手を伸ばしても電気的な熱しか感じられず、彼には指先一つ触れられない。

これが彼との適切な距離だったのだとはっきりと自覚する。

世界が違うことなんて最初から分かりきったことだったのに、夢のような時間に浸りすぎてすっかり忘れてしまっていた。

夢から醒めなくては。

泣きそうになるのをグッと堪えてカバンの中からスマホを取り出した。

連絡が来ることはないと思いつつもスマホ内にある彼と繋がる連絡先を片っ端からブロックして削除する。

今日が休みだったのも何かの縁だと、新しい部屋を探そうと決めた。

もう二度と繋がることはないように一つ一つに別れを告げよう。

朝の通勤通学ラッシュで人の往来が激しくなる前で良かったと思いながら、目の前のデジタルサイネージの中で人々を魅了するモデルに微笑んだ。

「じゃあね、Leo(レオ)

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