ライオン王子に飼われたネコさん。
そして、一昨日から彼は恐ろしい行動を取り始めたので、息を潜めてカーテンの裏に隠れています。

うろちょろと彼が動き出したのを感じつつ、私は微動だにせず、じっと身を潜めます。

「マシロ」

猫の名前だ。決して私の名前ではない。
勘違いするな!真白!

意図せず高鳴った心臓なんて気のせいよ!!


一昨日は油断していた。昨日は買ってもらったベッドですやすや眠るふりをしたけれどダメだったので今日は隠れています。

といっても、リビングから出られないので隠れる場所が限られてしまい、こんなお粗末な場所に隠れている訳ですが。

分厚い遮光カーテン故にすっぽり隠されて案外バレていない!

いいぞ、いいぞ!このまま時よ過ぎ去れ!
桃坂さん!!早く来て!!

シャッと願い虚しい音が聞こえた。

Oh,my god.

簡単に抱き抱えられてしまい、ソファまで連れて行かれた。

ドサリと音を立ててソファに寝転んだ怜音に抱き抱えられつつ、うなじ辺りに顔を寄せられてしまう。

暴れ出したいのに体が硬直してしまって全く動かない。心臓だけが暴れている。

あーーーーー心頭滅却!!!

無になるようになんちゃって念仏を唱えつつ、遠い目をしているとスーッと後ろで音がした。

こいつ、また匂いを嗅いでやがる。

そう。

彼の恐ろしい行動とはこれだ。
一昨日から始まった匂いを嗅がれるという奇行。

もしこれが猫にしているなら普通の光景かもしれないけれど、私は人間。見た目は猫でも心は人間なのです。

「お前、やっぱりいい匂いがする」

変態か!!

と、心で罵りつつもドコドコと煩い心臓とやたらと熱い体に息をすることさえ忘れてしまう。

もう最悪だ。
なんでこんな思いをしなきゃならないんだ。

若干泣きそうになっているとピンポーンとドアベルが鳴る。

救世主の遅い到着に「遅いよバカ!」という気持ちが炸裂する。

チッ、と舌打ちをした怜音だったが、さっきよりも機嫌を取り戻したご様子で苛立ちはもう見えなかった。
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