ライオン王子に飼われたネコさん。

「じゃあ、いってくる」

わしゃわしゃと頭を撫でると怜音は仕事へ行ってしまった。

ここが彼の家だということは重々承知しているがもう帰ってくんなと思うのは仕方がないことだとは思いませんでしょうか。


そして、昼も夕方も帰ってくることはなく、大体深夜前くらいに帰って来ます。

そのままお風呂に直行して上がってきたら頭も乾かさずにそのまま寝ようとするので、この部屋に来ている時はいつも乾かしてあげていたのですが近頃の彼は違います。

ちゃんと髪を乾かしてから寝ます。

ただ、ここに来てから七日目になりますが今のところ彼が昼と夜のご飯を食べたところは一度も見たことがありません。

本当に食べているのかちょっとばかり、砂埃程度には気にはなります。ここ最近、やつれ気味であるように見えるからです。

それ以外に理由はありません。


さて、夜になりました。

昨日まではあのOLの給料何ヶ月分という猫用ベッドですやすや眠っていたのですが、どういうことでしょうか。

なぜ私は、怜音のベッドで彼に抱きしめられながら寝ているのでしょうか。

ドウシテコウナッタ。

ぐっすり眠りの世界へ向かった怜音とは違い、真白は眠れぬ夜を過ごすことになったのだった。
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