王子なドクターに恋をしたら
「ごめんね、もう大丈夫」

「病み上がりなのに少し外に長居しすぎたかな、もう行こうか」

渋い顔をする和泉くんに立たされて行こうとするから引き留めた。

「え?もう?あたしは大丈夫だよ」

「ちゆ」

「…ん?」

「うん、千雪もいいけど、ちゆって呼ぶのもいいな」

「ええ?」

あたしの話を聞いてるのかいないのか、一人納得顔の和泉くんに呆気にとられてる間に繋がれた手に引っ張られて結局車に乗り込んだ。
まだ居たかったのに、と言うと、無理は禁物!とお医者様の顔をする和泉くんに窘められた。
ちょっと過保護すぎない?と文句を言いたいところだけどちょっと嬉しかったりする。

もう帰るのかと思ったら、もう一つ寄る所があるらしい。
行先は着いてからのお楽しみと言うから、あたしは深くシートにもたれた。
するとふわっとラベンダーの香りがして思わず服をクンクン嗅いだ。

「急にどうしたの」

「服に、ラベンダーの香りが移ったみたい」

「ああ、確かに、少し匂いがする」

「ふふ、あたしってラベンダーみたい?」

「ん?そうだよ?僕はぴったりだと思ったのに千雪が笑うから」

「違うよ、あたしが笑ったのは和泉くんがダジャレを言うから」

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