王子なドクターに恋をしたら
広いホールに入ると和泉くんが迎えに来てくれていた。

「ちゆ、ありがとう。來翔は僕が抱っこするよ」

「和泉くんお疲れ様。叶ちゃんどう?」

「うん、今分娩室に移動したところだよ。兄さんが間に合えばいいけど」

「お兄さんこっちに向かってるの?」

「そう。もうすぐ着くって連絡が来てたよ」

そうなんだ、と会話しながらエレベーターに乗ると來翔くんは暴れ出しあたしに向かって手を伸ばす。

「んまー!」

「なんだ來翔僕じゃ不満か?ちゆの方がいいのか?」

残念そうな和泉くんはあたしの荷物と來翔くんを交換してふっと笑う。

「來翔は随分ちゆに懐いたよね」

「そうかな?さっきは來翔くんご機嫌斜めで大泣きして大変だったの。やっぱりママがいいよね」

ねー?と來翔くんに話しかけてると和泉くんの手があたしの頭を何度も撫でた。

「ちゆもこうして見るとお母さんみたいだよ。女性はやっぱり子供を前にすると本能的に母になるんだね」

「そ、そんなことないよ…」

愛おしそうに目を細めた和泉くんにドキドキした。
もし來翔くんのお母さんがあたしでお父さんが和泉くんだったら…家族像を想像してなんて幸せなんだろうって思ってしまった。


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