王子なドクターに恋をしたら
「あ、あの、ごちそうさまでした。たくさん料理出たから高かったでしょ?」

「ううん全然。すごくおまけしてくれたみたいだよ」

美味しかったね、また行こうねって隣を歩く和泉くんの優しい声が降ってくる。
低い声が心地よくてずっと聞いていたい。

どうしよう。
お酒のせいか、すごくふわふわして、大胆にも和泉くんに抱き着きたくなってしまった。
でもだめ、そんなことしたら絶対和泉くんに引かれてしまう。
我慢だあたし!と気合を入れてなるべく和泉くんを見ないように歩いた。

でもなんか、チラチラと視線がこちらを向いてる気がする。
気のせいだよね?
なんとなく気になってちらっと横を見たら目が合って咄嗟に逸らしてしまった。

…目、合ったよね?
いま、にこって笑ってたよね?
和泉くんがこっち見てるの?なんで?
え~~~?

思わず混乱して足元がふらついて和泉くんの腕にぶつかってしまった。
ハッとして離れたのに手が当たったと思ったら掬い上げられた。

「手、冷たいね」

そう言って和泉くんはあたしの手をぎゅっと握って自分のコートのポケットにあたしの手ごと入れてしまった。

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