王子なドクターに恋をしたら
「なっ…!」

な、なななななな!なに!?

言葉にならなくて絶句。
どうしていいか分かんない!

ポケットの中ではいつの間にか指が絡められいわゆる恋人繋ぎになってるし!
身体はかちこちに固まって、もしかしたら手と足同時に動いてるかも知れない。
そんなあたしを知ってか知らずか和泉くんはふふっと笑ってぎゅっと手の力を強めた。

頬と、左手だけが異常に熱い。
時々親指があたしの手の甲を撫でるからその度にびくっと反応してしまう。

これは、どういう意味なのかな?
都会じゃ知り合った男女は付き合ってなくても手を繋ぐものなのかな?
田舎暮らしのあたしには都会の人の感覚はわからないよ。

でも、何もしゃべらず黙ったまま、並んで歩くこの雰囲気も心地良いって思ってしまう。

やつぱり、好きだな。
嬉しくって恥ずかしくって、切なくてちょっと苦しい、この気持ち。
あたし、和泉くんに恋してるんだなぁ。

夢心地で歩いてるともう店の前に着いてしまった。
ポケットから出された手が冷気を感じて熱が奪われる。

「ねえ、千雪」

繋がれたままの手がまたギュッと握られた。

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