王子なドクターに恋をしたら
「和泉さん、今の彼女さんの事、可愛いんだっていつも自慢してたじゃないですか。大好きなんでしょう?和泉さんにとっての運命の相手は彼女さん、なんじゃないんですか?」

「どうだろう…僕は自分の気持ちが分からなくて、千雪には寂しい思いばかりさせて将来の約束さえしてやれない。好きだけど、それが永遠に続くかどうかも疑わしい。結局僕は千雪を悲しませてしまうんじゃないかと思ってる」

「そういう事、真剣に考えるなんてやっぱり和泉さんは彼女さんの事好きなんですよ。優しいからそういう風に考えるんです」

「叶ちゃんは僕の本性を知らないから…。僕は薄情でわがままで冷徹な人間なんだ、相手の事なんかこれっぽっちも考えてないんだよ全部自分の為に考えてる」

「ん〜…和泉さんって、自分の本心を素直に認めたくないんですね。まるで怖がってるみたいです」

「え?怖がってる?」

叶ちゃんはまるで真実を見抜いたように僕を射竦めるから驚いた。
怖がってしまうほどの僕の本心ってなんだろう。それを認めたら何かが変わるのだろうか?

「和泉さんは十分優しくて思いやりのある愛情深い方ですよ?來翔の事もこんなに可愛がってくれるじゃないですか」

ねえ來翔~と叶ちゃんが話しかけると僕の膝の上で來翔は笑い声を上げる。今日もご機嫌だ。
初めて出来た甥っ子は思いのほか可愛くて猫っ可愛がりしてる。

「來翔は可愛いよ、だけど、身内だから特別だと思うんだけど」

「彼女さんは身内以上に特別にはならないんですか?」

「身内以上に、特別…ねえ」

ピンと来ないのは千雪としばらく逢っていないからだろうか?
もう少し、考える時間が必要かもしれない。

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