王子なドクターに恋をしたら
それから暫くして、やっと和泉くんから電話が来た。

「ごめん千雪。病院に行ったら緊急手術に駆り出されて連絡が出来なかった。もう、家に帰ってるよね?」

「…やっぱり、そうじゃないかと思った…。あたし…まだ展望台にいるよ…」

「え?なんで帰らなかったの?家で待っててくれても良かったのに」

「ここで…逢いたかったんだよ…和泉くん…」

「千雪?なんか様子がおかしいよ?どうしたの?」

「和泉くん…」

ふうっと大きなため息をついてそれ以上話せなかった。
治ったと思った風邪がぶり返したらしくて頭は重く体はだるくてゆう事を利かない。
あたしはしゃがみ込みくらくらする頭をごつっと固い壁に当てて寄り掛かった。

楽しみにしてたのに、なんでこうなっちゃうかな?
風邪なんて引くなんてほんとあたしはドジだ。
これじゃあ和泉くんに風邪をうつしてしまう。
逢いたいのに逢えないじゃないか。

あたしは後悔しながら目を瞑った。


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