王子なドクターに恋をしたら
……


「…すいません…」

「いいえ。後、よろしくね…」

朦朧としてる中、話し声が聞こえてぱたんとドアが閉まる音がした。
あったかい何かに包まれてあたしは夢現で薄目を開けた。

「千雪、気が付いた?」

「…和泉くん…?」

ぎしっと音がしてあたしの身体が一瞬揺らいだ。
見慣れた景色。
どうやらここはあたしの部屋であたしはベットに寝てるらしい。
和泉くんはあたしをここまで連れて来てくれたみたいだ。ベッドに腰掛けあたしを上から見下ろす。

「馬鹿だな千雪は、風邪気味ならそう言えばよかったのに。わざわざ展望台で待ち合わせすることなかった」

「だって…あそこで再開したかったんだもん…」

窘められてあたしは思わず涙を浮かべた。和泉くんは眉根を下げて困った顔をする。

「…ごめん…僕もそうしたかった。でもこれからは無理しないで欲しい。僕は医者だから、こうやって緊急手術が入ったら連絡する時間も無いんだ。だから千雪は家で待ってて、外で何時間も待ってるなんて僕はおちおち手術に集中することも出来ないよ、いいね?」

「はい…」

「いい子だ」

素直に頷くと和泉くんはあたしの頭を撫でてくれた。
それが気持ちよくてつい目を細める。

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