極上御曹司と授かり溺愛婚~パパの過保護が止まりません~
「そんな気遣いは無用だよ。ちゃんと迎えにきて送り届ける。約束は十一時だったよな? 十時過ぎに来るようにするから」

「朔也さん……」

「大丈夫だ。仮縫いの時間を聞いて、長くかかるようなら一度自宅に戻るから」

 頬を包み込んでいた手が顎に移り、クイッと彼の方を見上げさせられた。

「連れて帰りたいが、今日はやめておくよ」

 朔也さんはそっと私の唇にキスを落としてすぐに離れた。

 住宅街で誰かが見ているかもしれないからだ。大学時代を海外で過ごしているからハグやキスはごく自然にする朔也さんだけど、気を使うところも忘れない。

 あそこの娘さんが男とキスをしていたと、噂されて困るのは両親だから。婚約者だと知っていたとしても、人目もはばからずイチャイチャしていると陰で言われるかもしれない。ここはそういった噂好きの住人が多いから。

「気をつけてくださいね」

「ああ。じゃあ行くよ。また明日。門の中へ入って」

 私は彼から離れ、門の扉を開けて振り返る。

 朔也さんは運転席に乗り込むと、窓を開けて軽く手を振り去っていった。
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