罪か、それとも愛か
兄として必要なら、徹底して『兄』になる。
男として必要なら、琴羽にとって都合の良い『男』になる。
抱きしめて欲しければ力いっぱい抱きしめるし、一人で頑張りたいなら邪魔をしない距離感で見守る。


琴羽が医師を目指していたから、自分も琴羽を支える為に医師を目指した。
だから本当は琴羽が医師への道を進まないと決めたことはショックだった。
だが、琴羽のことだから『一条』を支えるために別の道を選択することも、想定内だ。


琴羽自身が医師にならないのならば、余計に医師としての自分が必要になる。


もちろん自分の人生全てを琴羽の為にと、琴羽だけを見て周囲を排除することは好ましくないとわかっている。
愛紗が積極的にアプローチして押される形ではあったが付き合ってもみたし、飲み会だって誘われたら参加する。人との繋がりは大切だし、何事も経験は財産だ。


でも、琴羽が『一条』の為に人生をかけるように、冬輝は『琴羽』の為に人生をかける。


これは、『愛』と呼ぶべきだろうか。
それとも、これほどの重く盲目的な感情は、もはやある意味『罪』と呼ぶべきなのかもしれない。



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