罪か、それとも愛か
萌音は恋愛が第一の、恋愛至上主義だ。恋愛こそが幸せの全て、と諭されることもしばしば。

これほど自分の全てを恋愛に注ぎ込むバイタリティはある意味感心する。
琴羽が『一条』の為になりふり構わず己の能力を高める努力をしている気持ちと被るところがあって、なんだか憎めない。


ーー好きな人、か。


不意に冬輝の顔が脳裏に浮かぶ。
母が亡くなった後、不安と恐怖に襲われる度に冬輝にすがった。冬輝の優しさと温もりが、琴羽をどれほど救ってくれただろう。

だけど、冬輝に抱くこの気持ちは、恋や愛なんてものじゃない。
そんな甘ったるいものじゃない。

萌音のように全身全霊をかけて人を好きになるような恋愛なんて。


ーー私の人生には、必要ない。


琴羽は小さく笑って、萌音を不快にさせないように言葉を選んでつないだ。

「萌音と五嶋くん見てると、ちょっと羨ましい。仲良いもんね」

「ふふっ。恋はエネルギーなの。毎日を楽しく過ごすエネルギーよ」

はにかみながらそう告げた萌音の顔が、とてつもなくキラキラしていて、可愛かった。
恋は女の子をキレイにしてくれるとはよく言ったものだと、実感する。


< 109 / 252 >

この作品をシェア

pagetop