罪か、それとも愛か
「写真映えして、美味しくて、太らない。そんな夢みたいなスイーツが食べたいなぁ。
あ、零次から返信来た!美味しそうだねって」
たぶん、萌音は誰かを好きになったり彼氏ができたりすると、周りは眼中に入らなくなるのだろう。とにかく好きな人の一挙手一投足に一喜一憂して、振り回されてしまう。
そんな恋は出来ない琴羽にとって、萌音は眩しかった。オシャレにメイクに恋と、女性として生きることを楽しんでいる。
パンケーキは正直期待外れもいいところだった。おそらくこの店も長くは続かないだろう。
短期勝負のビジネスには興味がない。
でも、萌音と一緒に過ごせたこの時間は楽しかった。
「なんか、零次に会いたくなっちゃった」
「じゃあ、そろそろ出ようか」
席を立ち、レジに向かった、その時だ。
背中に感じた突き刺さるような殺気に、琴羽は思わず振り返った。
店内を見渡すが、怪しい人物は見当たらない。
「どうしたの、琴羽?」
「あ、ううん、なんでもない」
萌音と共にレジに向かう。
ーー何だったんだろう?
黒川夫妻に鍛えられて、怪しい気配に敏感になりすぎているのだろうか。
念のため、手にスマホを持ったまま、会計を済ませて店を出る。
「私、これから零次のとこに行くね。
じゃあ琴羽、また明日!」
五嶋の元に行くという萌音を止めることは出来ない。だけど、先程の強い殺気を感じたことから一人になることに不安を感じていた。