罪か、それとも愛か


「この店が愛紗ちゃんの行きつけ?違うよね。今、『らぶ』って呼ばれていたし。どういうこと?」

「…羅舞って、私の名前。ここはキャバクラ。私はここでバイトしてるの」


愛紗がキャバクラで働いているなんて、知らなかった。琴羽は驚きつつも、警戒を緩めない。
冬輝の性格を思えば、カノジョがキャバクラで働いていることを受け入れられないだろう。恐らく知らないはずだ。
冬輝に隠したいことをわざわざ琴羽に教え、店に連れてきた時点で何かある。


「やっと会えたわ、琴羽ちゃん。
私、琴羽ちゃんに会いたくて、何日もずっと、慶長大学の入り口で待ってたのよ。でも、全然会えなくて。今日、お友達と二人で出てきた時は嬉しかったわ。やっと会えるって」


それはそうだ。
琴羽一人での外出は、ほぼない。学校への送迎は車だし、今日のように友人と出かけるのは、月に一回程度だ。しかも、なるべく一人にならないようにしてるのに、一瞬の隙をつかれた。


以前愛紗が、冬輝に会いたいからと早朝から家の前にいたことを思い出す。
粘着質な気質のベクトルが自分に向いていると知り、琴羽の胸はざわついた。
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