罪か、それとも愛か

当たり前にそばにいる




黒川に後を託し、琴羽と冬輝は店を出て自宅へと向かう。
車の多い大通りへ出ればすぐにタクシーを捕まえられるだろう。


いつの間にか夕暮れ時だ。
西の空はまだオレンジ色を残してはいるが、街には次々と明かりが灯っていく。ねぐらにしているのか、歩道脇に植えられた街路樹のまわりには名も知らぬ小鳥が集まっていた。

寂れた路地裏に人影はない。それでも肩が触れそうで触れない微妙な距離感を保ちながら、冬輝は琴羽の隣を歩く。


ーー俺のせいで、琴羽を危険な目に遭わせてしまった。

「ごめん」

頭を下げる冬輝に、琴羽は平気だと笑ってくれた。

「冬輝は愛紗ちゃんと付き合っていたのに、私が冬輝の優しさにつけこんで裏切らせるような行為をさせた。
いつかは咎めを受けなければって覚悟してた。甘んじて罪を受け入れ、償っていかなきゃって思ってたから。
だから、平気」

琴羽に求められるままに抱き合った時間は、二人で共有した甘美な秘密だ。
それが琴羽にこれほどの罪悪感を抱かせていたことに、冬輝は深く自分を責めた。

< 127 / 252 >

この作品をシェア

pagetop