罪か、それとも愛か


「ただいまー」

そこへ夏姫の父洸平と、琴羽の父翔太が一緒に帰ってきた。

「あら、なんだか病院のにおいがする」

父たちが現れるなり、愛紗が鼻をひくつかせた。あまり好まないにおいだったのか眉間にしわを寄せている。

仕事を終えた父たちからは、いつもほのかに消毒液のにおいがする。琴羽たちには当たり前のことだった。

「お帰りなさい、洸平さん。お仕事、お疲れさまでした。パパは出張じゃなかったの?」
「お、琴羽!ただいまー。出張は急遽取りやめになったんだ。
このにおいは……冬輝、今夜はカレーか?俺も食べたいな」
「どうぞ。お疲れ様でした、教授」
「オイオイ、その呼び方やめろって。家ではショウさんって呼んでくれよ〜」

琴羽は水上夫婦を、『洸平さん』『柊子さん』と呼ぶ。

冬輝と夏姫は一条夫婦を『ショウさん』『マコさん』と呼んでいた。

翔太は大学病院の病院長で、大学の講義も行う教授だ。医学生の冬輝は学校では『教授』と呼んでいた。それを翔太はむず痒くなるといつも嫌がる。
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