罪か、それとも愛か
大きなパーティだった。参加者の人数も多く、あちこちに警備員も見かける。



「一条さん!」
「あぁ、これは久坂先生、本年もよろしくお願いします」

会場に着くなり声をかけてくれたのは、パーティの主催者、国会議員の久坂だ。

「こちらこそ。花音ちゃんも大きくなりましたね。
あけましておめでとう、花音ちゃん。プリンセスのように可愛いね」
「ありがとうございます、くさかせんせい。
お父さま、わたしプリンセスみたいだって。うれしい」

花音は子供らしさを全面に出しているのだが、ずいぶんとあざとい。琴羽は引きつりそうになる頬の筋肉に力を込めて反応しないようにつとめた。

「こちらのお美しい方は?」
「私の従兄弟、翔太の…」

久坂は、翔太と名前を聞いた途端、拓人の紹介より先に思い当たったようだ。

「もしかしたら、光英大学病院の一条教授のお嬢様ですか?
お父上にはいつもお世話になってます」
「一条琴羽です。本日はお招きありがとうございます」


琴羽はあくまで自然体で、サラリと挨拶をかわす。
今回は相手の印象に残る必要はない。あくまで花音の補佐だ。
久坂に挨拶した後、同じような挨拶を何度もこなす。
花音は初めて会う相手の前では恥ずかしそうに琴羽の陰に隠れたり、顔見知りには親しげに笑いかけたりと、相手に合わせた子供らしさを演じている。

拓人は本当に顔が広い。琴羽も顔に笑顔を貼り付けて、次々と声をかけてくる相手の対応に追われた。


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