罪か、それとも愛か
「息子の零次です。零次、こちらは一条商事の社長一条拓人さんだ」

五嶋社長が息子と紹介した青年は、ポカンとした様子でその場に立ちすくむ。

「挨拶も出来ないのか」

五嶋社長にギロリと睨まれた青年は、ひどく混乱した様子。

「え、あ、だって…一条商事って、あの、世界の一条グループの…?」
「初めまして、一条拓人です」

拓人が差し出した手をかろうじて握るが、青年の目線は琴羽に釘付けだ。

琴羽は青年が同級生の五嶋零次だと気づいても顔色ひとつ変えず、優雅な仕草で小さくおじぎをする。

「一条琴羽です」
「…やっぱり!!」

琴羽が頭を下げて挨拶をした途端、すっとんきょうな声を上げた五嶋。

「琴羽に似てるなぁって思ってた。マジか」
「あら零次さん、知り合いなの?」

千鶴の目が変わる。

「大学の同級生」

五嶋が興奮して答えると、今度は五嶋社長の目の奥が光った。

「ほう、同級生でしたか。それは、ご縁がありますな」
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