罪か、それとも愛か

「わたくしなど、数多くの在校生の一人に過ぎませんのに、ご記憶に残っていたなんて。ありがとうございます」
「え……?」

声は琴羽の声。だが、醸し出す雰囲気がまるで違う。しかも、まるで初対面のように話しかけられた。
五嶋の知る琴羽とは別人のようだ。

「同級生なら話も合うだろう。零次、琴羽さんと二人で少し話してきたらどうだ」

そう勧める五嶋社長の魂胆など見え見え。一条とのコネクションをより強固にしたいのだ。

「あ、いや…」

琴羽との出会いに動揺隠しきれない五嶋。
その反応に琴羽はため息をつきたい気分だった。

ーー余計なことを言い出さないように、口止めが必要ね。

「今日のパーティにはあまり同世代の方がいらっしゃらなくて、同じ大学の方がいらして嬉しいわ。
拓人おじさま、花音さん。五嶋さんと少しお話してきても構いませんか?」

「あぁ、構わないよ」
「偶然、ご学友とお会いできたなんてステキ。
ゆっくりお話してらして」

拓人と花音に許可を得て、琴羽は五嶋をパーティ会場の奥に連れ出した。



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