罪か、それとも愛か
「そうだな。話してなかったな。
俺、高校までは『吉田零次』だったってことは言ったっけ?」
「以前、高校の同級生、四辻くんが『吉田』って呼んだのを覚えてる」
「さすがの記憶力だな。
俺のオフクロは若い頃、五嶋商事で働いてたんだ。社長と付き合っていたオフクロが俺を妊娠した矢先に、社長は見合いで一条家の御令嬢を紹介されて、俺とオフクロは捨てられた」
離れたところで拓人と歓談している五嶋社長を、五嶋は苦々しい様子で睨んでいる。
「その見合い相手が、あの千鶴って女。気の強い女でさ。俺とオフクロは五嶋家でずっと存在を消されてた。だからいつも貧乏だった。
俺、大学進学したかったんだけど、金かかるじゃん。せめて国立大学って思ったけどダメで。進学諦めようとしてたら、オフクロが社長に金の工面をお願いしたんだ。
そしたら社長が提案してきた。千鶴に子供が出来ないから、俺に五嶋の後継ぎとなってくれないかと。そうすれば大学の学費も、オフクロの生活費もすべて面倒みてくれるって言われてね。
提示された金に目がくらんで、俺は『五嶋零次』になったってわけ」
俺、高校までは『吉田零次』だったってことは言ったっけ?」
「以前、高校の同級生、四辻くんが『吉田』って呼んだのを覚えてる」
「さすがの記憶力だな。
俺のオフクロは若い頃、五嶋商事で働いてたんだ。社長と付き合っていたオフクロが俺を妊娠した矢先に、社長は見合いで一条家の御令嬢を紹介されて、俺とオフクロは捨てられた」
離れたところで拓人と歓談している五嶋社長を、五嶋は苦々しい様子で睨んでいる。
「その見合い相手が、あの千鶴って女。気の強い女でさ。俺とオフクロは五嶋家でずっと存在を消されてた。だからいつも貧乏だった。
俺、大学進学したかったんだけど、金かかるじゃん。せめて国立大学って思ったけどダメで。進学諦めようとしてたら、オフクロが社長に金の工面をお願いしたんだ。
そしたら社長が提案してきた。千鶴に子供が出来ないから、俺に五嶋の後継ぎとなってくれないかと。そうすれば大学の学費も、オフクロの生活費もすべて面倒みてくれるって言われてね。
提示された金に目がくらんで、俺は『五嶋零次』になったってわけ」