罪か、それとも愛か
目的は久坂議員の大臣辞任のようだ。

「ば…爆弾…!?」

会場がざわつく。

だが琴羽は冷静だった。

逃げる時の足手まといにしかならないというのに、捕まえやすかったとはいえ高齢で太った千鶴を人質にするなど、犯人は動きに無駄が多い。

恐らく、相手は素人だ。
あの男に目をつけていた花音の先見はさすがとしかいいようがない。


琴羽はゆっくりと周囲を見渡す。
仲間はいるのだろうか?参加者やホテル従業員の中に怪しげな人物はいない。単独犯だろうか?


「待て。落ち着いてくれ。
爆弾は本当か?誰かに指図されたのか?こんなことをしてどうなる?」

久坂大臣が声を振るわせ犯人を宥めようとする。

「もちろん、本物さ。まぁ、疑うのも無理ないな。見てろ」

男がニヤリと笑い左手に持っていたリモコンのようなものを操作した。
次の瞬間。

ガラス窓の向こう。中庭の池で爆発音と共に、巨大な水柱が立ち上ったのだ。

「いやぁ!」
「うわぁ!」

会場内は一気に驚きと恐怖が満ちる。

ーー爆弾は本物。この威力なら人を殺せる。

飛び交う叫び声に包まれ、水柱を見ていた琴羽の中に死への恐怖が生まれてしまった。

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