罪か、それとも愛か


「ここに、孝弘がいればあの男が誰かすぐに調べられる。天河がいれば爆弾の解体だってできる。大河がいれば、あんなやつすぐにぶっ飛ばしてくれるのに。
手駒が少ないわ。連れてくればよかった」

琴羽の切迫した様子に、花音はひときわ冷静につぶやいた。

花音のすごいところは自身の能力だけじゃない。各方面に類稀なる才能を持った幼なじみに恵まれたことだ。
花音は彼らの才能を巧みに操り、どんな事案もスマートに解決するのだ。

「でも今は琴羽しかいない。だからしっかりして。
私が合図を送るから、それまでに心を落ち着かせて。
大丈夫。ケガしたら冬輝くんに治療してもらいましょう」

花音はわかっていた。
母を失って以来琴羽の心の奥に巣食う『死』への恐怖を。
そして琴羽を最も落ち着かせる言葉が『冬輝』であることも。

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