罪か、それとも愛か

琴羽は、ちらっと拓人を見る。
拓人はナイフを向けられているというに、静かに首を横に振る。その拓人の傍にいるマリアも同じ反応だ。

余計なことをするなと二人の目が言っている。おそらく二人は持久戦に持ち込み、警察の突入を待つつもりなのだ。確かにそれが一番安全な解決方法だろう。

だが、花音は違う。
いぶきに似た恐ろしいほどに威圧的な眼力で、琴羽の腕の中から犯人を観察している。
この小さな天才は、ありとあらゆる可能性をシュミレーションして最適解を導きだすはずだ。

「久坂議員の大臣辞任が目的かと思ったけど。
要人を一掃して日本を変えると言ったかと思えば、金銭の要求してみたり、女を要求したり。一貫していない。
世間を騒がせることで、己の快感を得る類の愉快犯?
ならば、怯えて混乱してみせれば食いつく。人質のことは気にしなくて大丈夫。一瞬でも隙が出来ればイケる。
琴羽に興味を示している今がチャンスよ。
もっと引きつけて」
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