罪か、それとも愛か

弱さを包み込む

「琴羽っ!」

聞き慣れた声がざわつく人混みの中からハッキリと聞こえた。

「…冬輝?」

この場にいるはずのない冬輝の声。
琴羽は自分の耳を疑いつつ、目を凝らす。

「ショウさん!理事長!花音ちゃん!
あぁ、よかった、みんな無事だった」

救急車、消防車、警察、報道の車両が作る人工の光で、夜だというのにあたりは明るい。
パーティの出席者、ホテル従業員、宿泊客、それに野次馬まで、多くの人が入り乱れているというのに、冬輝はまっすぐに琴羽のもとへ駆け寄ってきた。
そして、いきなり人目もはばからずに抱きしめたのだ。

「冬輝、落ち着いて。苦しい。どうして、ここに?」

不意に現れた冬輝の姿に琴羽の胸に熱いものがブワッとこみ上げてきた。
ずっと張っていた緊張の糸が切れそうになる。それをぐっとこらえた。

「あぁ、ごめん。
テレビ。このニュースヤバいくらい報道されてる。顔はハッキリ見えないような角度で、でもパーティの出席者だとわかるくらいには映ってた」

「それはまずいな。報道規制かけないと…」

冬輝の報告に拓人が即座に反応し、スマホで電話を始めた。

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