罪か、それとも愛か
「怪我はないか、琴羽」
心配を隠さない冬輝。琴羽の全身をくまなく見ている。こんなに動揺して焦る冬輝は珍しい。
ーー心配してくれた。
申し訳なさとちょっぴり喜びが混じり、琴羽の胸がキュッと鳴る。
「私は大丈夫」
「それは?」
「え?」
冬輝が指を指したのは、琴羽の足のすねのあたり。ストッキングが破れ、わずかに血がにじんでいる。
この場の誰も、医師である父ですら気づかなかった琴羽の小さな怪我を冬輝は瞬時に見つけた。
「コトハ!ナイフのよけかたがあまかったわネ。じぶんのからだまもること、いちばんだいじヨ。
トーキ、これでしょうどくして」
マリアが自分の荷物から消毒液とガーゼを取り出す。冬輝はそれを受け取ると琴羽の傷の手当てをした。
「これくらい許容範囲でしょ?たまには褒めて、マリア」
琴羽は、消毒液が傷にしみて痛むのをごまかすために強気の発言をする。
「解決の糸口を作ったタイミングは完璧。あの局面では琴羽にしかできなかった。おかげで早期解決できた。よくやった」
褒めてくれたのは拓人だ。
生前、母が褒めてくれたときと同じように琴羽の頭を撫でてくれた。