罪か、それとも愛か

「…疲れた」

冬輝と二人きりになって、初めて琴羽は小さくつぶやいた。

周囲は騒然としていた。パトカーに消防車、救急車が赤いランプをチカチカと光らせ、待機している。
赤いランプを見ていると、琴羽の心がざわついてくる。
もう、弱い自分が抑えきれない。

爆弾を見てから、本当は死が怖かった。自分が死ぬことよりも、自分の大切な拓人や花音が死ぬかもしれない恐怖が本当に辛かった。

緊急車両の赤いランプを見ていると、抑え込んでいた恐怖が今更ながら膨れ上がって琴羽を苛んでくる。

青ざめ、硬直する琴羽に冬輝は優しく声をかけた。

「琴羽、大丈夫。皆、無事だから。誰も死ななかった。もう、大丈夫。
荷物受け取るついでに、少し休ませてもらうか」

柔らかな冬輝の声が強張った琴羽の心を優しく包む。

ーーあぁ。やっぱり冬輝はすごい。

琴羽の心なんてお見通し。琴羽が何に対して恐怖を感じているか、そしてその恐怖を共有して払しょくできるのは、冬輝しかいない。

冬輝のセーターの袖をキュッとつまむ。

みんなの前ではあんなにシャキッと強くしていた琴羽が、ほんの少しだけ甘える姿が本当にかわいい。冬輝の前でだけ見せる、年齢相応の女の子の姿だ。

「…足、痛い。寒い。お腹すいた。生きてる実感欲しい。もう、何にも考えたくない。ただ、今すぐあったまりたい。疲れた」
「…わかった」


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