罪か、それとも愛か
「食べ方一つとっても、全然違う」
「美味しく食べられればいいじゃない?私、普段は栄養補助食品のゼリーや菓子パンみたいに食事の手間のかからないものばかりを口にしているの。作法なんて意味ない」

幼いころから、”一条の令嬢”らしくと礼儀作法を厳しくしつけられた。骨の髄まで沁みついている作法も、普段の生活には意味をなさない。それを伝えたかった。

琴羽の言葉に、五嶋は驚いたように目を大きく見開いた。

「そう言ってくれるなんて思わなかった。
やっぱり琴羽……好きだ」

五嶋の告白に琴羽は動じない。やはり、と思った。会話の流れ的にそう言われるのではと身構えていたのだ。

それでもこんなに面と向かって『好きだ』とはっきり言われるのはさすがに少々恥ずかしい。
でも、表情には出さない。
今の五嶋には、学生の時のふわふわチャラチャラした様子はない。アメリカで相当もまれたのだろう。痩せてシャープになった顔つきに、はっきりとした意思を感じる。

それでも琴羽に悩む余地はない。
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