罪か、それとも愛か
「土下座なんてやめて」

琴羽に言われて五嶋は床に膝をついたまま、顔をあげる。
必死に救いを求めた目が、琴羽をじっと見つめている。

「……変わったのね、五嶋くん。守りたいものができたのね」
「あぁ。
昔さ、自分の人生は一条のためにあるって言った琴羽に、自分の人生は自分のモンだって言ったこと、今になって後悔してる。あの頃の俺には、琴羽の強い決意をわからなかった。
今になってわかったんだ。俺の肩には五嶋商事で働く従業員とその家族の生活がかかってる。彼らを守りたい。俺は彼らを守るためになら、人生をかけてどんなことだってする覚悟だ」
「その覚悟の一つが、私との結婚なわけね」
「前向きに考えてくれないか、琴羽」

「少し、時間をくれる?」
「もちろん。ただ、申し訳ないがあまり時間がない」
「うん。わかってる」

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