罪か、それとも愛か
ーー結婚するなら、冬輝がいい。

心の奥底で、切に願う弱い自分がいる。

琴羽がこの世界に生まれ落ちたその瞬間からいつでもそばで見守ってくれる人。
穏やかに微笑む冬輝の姿が脳裏に浮かび上がった。

彼となら、幸せな家庭だって築ける気がする。

だが、その幸せは琴羽だけが感じられる幸せだ。
琴羽の相手となった冬輝には、どれほど本人が努力をした結果だとしても、常に『一条』の名がつきまとい、妬み嫉みの対象とされる。優しい冬輝は一生苦しむだろう。
そう、それは一条に嫁入りした琴羽の母まことのように。

冬輝にはそんな苦しみを抱えさせたくはない。


ーーそれに、ママを悲しい思いのまま死なせ、ママの望む人生を歩めなかった自分は、一条のために生きるしか価値はない。

母への深い後悔の念を抱く琴羽にとって、自分が幸せになることは罪だと思っている。
その罪を抱きながら、幸せとは無縁の贖罪の人生をともに歩んでほしいだなんて、望めない。

それが、冬輝ならなおさら。
< 196 / 252 >

この作品をシェア

pagetop