罪か、それとも愛か



ーー琴羽に似合いの、”一条”に有益な相手が見つかったんだ。


買い出しを終えて帰ってきた冬輝はリビングから漏れてきた会話からそう判断した。

ーー琴羽が選んだ相手なら俺は祝福する。いつかはこの日が来ると、覚悟していたじゃないか。

でも、いざとなると頭では分かっていても心は張り裂けそうに苦しい。

平然を装うのが辛く、とてもじゃないけれどリビングに顔を出せそうにない。
そっと買ってきたものを置いて自宅に戻ろうとした。
だが、琴羽の結婚話がどうなるのか、気になってしかたがない。

結局、どうにも身動きが取れずにいたところ。

『くだらない結婚するなんて言うな』と翔太が声を張り上げた瞬間、冬輝は声に驚いて震えていた手から荷物を落としてしまったのだった。


「すみません。立ち聞きするつもりじゃなかったんだけど。中に入りにくくて。
これ、頼まれた酒です。
立て込んでるみたいだから帰ります」

バツが悪そうに落とした荷物を拾って翔太に渡し、きびすを返した冬輝にリビングから飛び出してきた花音が引きとめた。

「ちょうどよかった!冬輝くん来て」
「いや、俺は場違いだよ、花音ちゃん」
「冬輝くんも一緒に話を聞いてほしい」

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