罪か、それとも愛か
あの日の先へ
その夜はひどく寒かった。琴羽はコートの前を合わせて一条商事本社ビルを出る。
冷えた空気が頬に刺さるようだ。建物内の空調に慣れた体にこの寒さはこたえた。ただでさえ憂鬱な予定があるというのに、寒さでますます気持ちが萎える。
琴羽はメッセージアプリを開いた。
ーー今夜、空いてる?夕飯一緒にどうかな?
五嶋からのメッセージが届いたのは今日の午前中だった。
今夜は冬輝と食事する予定になっていた。
いつまでも返事をしないのも期待をさせるだけ。早めに断るべきだ。と、琴羽は冬輝に理由を告げ、今夜はキャンセルする旨の連絡をした。
それから五嶋にメッセージを送った。
ーーホテルストリークのスカイダイニングで19時にどうですか?
琴羽のメッセージに対し、オッケーの絵文字が返ってきている。
今の時刻は18時45分。タクシーに乗ってホテルストリークに向かえばちょうどいい時間だ。それでも気が重い。
責任に押しつぶされそうな弱い心をむき出しにして、琴羽にすがった五嶋。似たような状況を経験したことがあるから、五嶋の不安は分かりすぎる。
でも、琴羽には頼れる拓人がいた。花音がいた。そして誰より心を支える冬輝がいた。恐らく五嶋は琴羽にしか頼れなかったのだろう。
結婚は出来ないが、何とか助けてあげたいとは思う。でも、彼を支えるほどの度量も余裕も琴羽にはない。どうしたものか。
裸の枝に電球をつけられた街路樹がキラキラと輝き、澄んだ夜の空気に映える。ふう、と吐いたため息は白く、でもすぐに冷たい夜の空気に溶けていった。
冷えた空気が頬に刺さるようだ。建物内の空調に慣れた体にこの寒さはこたえた。ただでさえ憂鬱な予定があるというのに、寒さでますます気持ちが萎える。
琴羽はメッセージアプリを開いた。
ーー今夜、空いてる?夕飯一緒にどうかな?
五嶋からのメッセージが届いたのは今日の午前中だった。
今夜は冬輝と食事する予定になっていた。
いつまでも返事をしないのも期待をさせるだけ。早めに断るべきだ。と、琴羽は冬輝に理由を告げ、今夜はキャンセルする旨の連絡をした。
それから五嶋にメッセージを送った。
ーーホテルストリークのスカイダイニングで19時にどうですか?
琴羽のメッセージに対し、オッケーの絵文字が返ってきている。
今の時刻は18時45分。タクシーに乗ってホテルストリークに向かえばちょうどいい時間だ。それでも気が重い。
責任に押しつぶされそうな弱い心をむき出しにして、琴羽にすがった五嶋。似たような状況を経験したことがあるから、五嶋の不安は分かりすぎる。
でも、琴羽には頼れる拓人がいた。花音がいた。そして誰より心を支える冬輝がいた。恐らく五嶋は琴羽にしか頼れなかったのだろう。
結婚は出来ないが、何とか助けてあげたいとは思う。でも、彼を支えるほどの度量も余裕も琴羽にはない。どうしたものか。
裸の枝に電球をつけられた街路樹がキラキラと輝き、澄んだ夜の空気に映える。ふう、と吐いたため息は白く、でもすぐに冷たい夜の空気に溶けていった。