罪か、それとも愛か
仕事の方は、大学入学を機に仕事に本腰を入れた花音の秘書になった。花音が大学の講義があるときは代理も務める。
並行して母の夢の病院建設計画も、いよいよ本格的に始動した。


「ねぇ、琴羽聞いて!お兄ちゃん、産婦人科の看護師にまで大人気でさぁ。優良物件だって狙ってる子も多いんだよ。恋人はいるのか、とか、好きな女の子のタイプとか、色々聞かれて大変よ」
「ふうん」

夏姫はいつも病院の様子を教えてくれる。柊子や冬輝はあまり職場の話をしないから新鮮である。

「微笑み王子なんて呼ぶヤツもいるんだよ」
「ふうん」

琴羽は手にしたタブレットの画面を凝視している。怒涛の喋りを繰り出す夏姫に、あいづちを打つ琴羽。聞いてなさそうでキチンと聞いている。
こんな感じが懐かしくて、夏姫のおしゃべりは止まらない。

「スーパードクターの息子のわりに平凡な医者、っていうヤツもいる」
「当たってるけど。平凡の何が悪い」
「だよねー!そう言う自分なんてちょー使えないんだよ。ま、お兄ちゃんの一番すごいところは琴羽の相手がつとまるところなんだけど。
ね、琴羽、さっきから何を見てるの?」
「まこと記念病院の建設計画の見直し案。ものすごい量なの。あー疲れた。目がツライ」
「コーヒーでも淹れようか」
「ブラックでお願い。あ、頂き物のクッキーがあるよ。一緒に食べよう」
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