罪か、それとも愛か
「ちょっと貧血ぎみだな」
「もう大丈夫だよ。ちょっとクラっとしただけ」
「寝てろ」
夏姫が琴羽に毛布を掛けてくれた。正直、体が重くていうことをきかない。琴羽はそっと目を閉じた。
「あとはお兄ちゃんに任せていい?私ご飯の支度するから」
「あぁ」
夏姫がパタパタとキッチンに向かう足音がした。
すぐ近くに冬輝がいる。それだけで安心したのか不意に睡魔が襲ってきた。
「琴羽」
「…ん?」
「ちょっと、調べてみないか」
「…何を?」
「妊娠。なんとなく…そうじゃないかと思うけど」
「え?」
琴羽にとってのパワーワードに、睡魔はいっぺんに吹き飛んだ。
「それって、医師としてのカン?」
「医師プラス男としてのカンみたいな?」
期待と不安が一気に押し寄せる。
琴羽は毛布のはじをぎゅっとつかんだ。手が緊張でみるみる冷たくなっていく。
その手を温かな冬輝の手が優しく包んでくれた。
「わかった」
琴羽は冬輝の手を借りながらゆっくりと起き上がる。冬輝が用意してくれた検査キットを手にトイレへと向かった。