罪か、それとも愛か
都内某所。
まだ真新しいその建物の正面は、鳥の羽をイメージした先進的で個性的なデザインだ。
建物上部には『まこと記念病院』と可愛らしいラズベリーピンク色の立体文字が、夜の闇に浮かび上がっている。

琴羽は正面玄関裏手に回り、通用口のインターフォンを押す。夜間受付の警備員が琴羽に敬礼をして中に入れてくれた。

一歩中に入れば随所に木材が使われ、温かく包み込むような優しい作りとなっていた。
こだわりぬいたデザインはきっと母も気に入ってくれていると信じている。


琴羽はエスカレーターに向かうため、誰もいないエントランスを通り抜ける。

エスカレーター脇には病院内の案内板があった。その隣には各科の担当医の名前がずらりと並んでいる。その名前の最上部。
『理事長 一条琴羽』
『病院長 水上冬輝』
二人の名前が並んでいることは、ちょっとくすぐったい。
ちらりとだけ見て、いそいで病院内へと進む。


エスカレーターで最上階まで上るとまっすぐに『特別室』へと向かう。

ノックをすると、返事があった。

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