罪か、それとも愛か

罪とは

大量の菓子折りの入った紙袋を手に琴羽は特別室を出て理事長室へと向かう。

ーー入籍、か。

冬輝だっていまさらそんなこと言われても困るだろう。


理事長室の明かりをつけ、大量の紙袋をテーブルの隅においたところで、ポケットの中でスマホが震えた。
父からの着信だった。

「もしもし」
『あぁ、琴羽、今どこにいる?』
「病院。花音の病室出たところ。どうかした?冬輝まだ捕まらないの?」
『今から迎えに行く』

そう告げた父の声に違和感を感じた。どこかいつもと違う、余裕のない声だった。

「どうかしたの?」
『冬輝が…どうもケガをしたようだ』
「ケガ?冬輝ったらドジね。でも、私が病院に行ったってしょうがないでしょ?」
『警察から洸平に電話があった。洸平と柊子ちゃんは先に病院に行ってる。陽翔と晃翔はもう寝てるけど、夏姫が見ててくれるから心配いらない。
まこと記念病院なら10分もかからない。とにかくそこにいろ』

警察から電話なんて、一体どうしたというのだろう。何か事件にでも巻き込まれたのだろうか。

電話越しの父の声はいつもよりトーンも低かった。余裕のなさから緊張感さえ感じられるそれは、母が亡くなった時の知らせの電話とリンクして琴羽を一気に不安の海へと落とす。


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