罪か、それとも愛か
車が大きな病院の前に止まった。救急・夜間受付と書かれた看板が夜の闇にぼんやり浮かんで見える。

「冬輝のいない世界なんて、生きている意味がない」
「え?あ、琴羽待って」

父が車内に落としたスマホを拾っている間に琴羽は車から飛び出し、夜間受付へと飛び込んだ。


「お待ちください、面会時間は過ぎています」

病院内に走りこんだ琴羽を受付にいた警備員が止めた。

「交通事故で、救急車で運ばれたって聞いて。水上冬輝です」
「水上さん、ですか。失礼ですがご家族の方ですか?」
「……え」

冬輝との関係を一言でなんと説明したらいいのだろう。
琴羽が言いよどんでいると、警備員は眉をぐっとひそめた。

「ご家族の方しかご案内できません。お見舞いでしたら、面会時間内にお願いします」

警備員は淡々と告げ、琴羽に出ていくように促す。


家族じゃない。
誰よりも近くで寄り添ってくれる冬輝。でも、家族じゃない。琴羽にはこんな非常事態にそばにいることさえできない。

あまりのショックに、琴羽は警備員に背中を押されるままに外に出るしかなかった。
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