罪か、それとも愛か
冬輝は読んでいた本を閉じる。
琴羽のことをずっと考えていて、本の内容なんて頭に入っていなかった。

病院で家族ではないと追い返されたと聞いた。あんな状況なら、家族だと言ってしのいでしまえばよかったはずなのに、それでも琴羽は家族ではないと言った。

この10年。可愛い子宝にも恵まれ、私生活では夫婦のように過ごしてきた。琴羽には事実婚状態である現状が最善だとわかっている。それでも、緊急事態のときくらい家族だと言ってくれると思っていた。

だが、琴羽にとって冬輝は家族ではなかったのだと、改めて知りショックを隠せずにいた。




「琴羽の罪なんてない。マコさんの死は唐突で、誰にも止められなかった。マコさんは、いつでも琴羽を愛してた。琴羽が幸せになることを一番望んでいたよ」
「…冬輝ったら、パパとおんなじこと言って…」

琴羽の体が震えている。冬輝はそんな琴羽の体をふわりとつつむように抱きしめた。

ーーママ。私、冬輝と家族として一緒に生きていきたい。応援してくれる?

「冬輝、ママは許してくれると思う?」

「マコさんは俺に『琴羽をお願い』と言った。
俺は一生、マコさんに代わって琴羽を守る」

「私、医師になって一緒に働くってママの夢を叶えられなかった。ママにとって理想の娘にはなれなかった。
でもそれは医師になった冬輝と一緒に生きることで少しは報われた…かな」
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