罪か、それとも愛か
だけど。今は。


尊敬はするが憧れは薄れ、存在がうっとおしく感じていた。

子供を犠牲にして、自分を追い詰めて、母は幸せなのだろうか。
父に出会わなければ、一条に嫁に来なければ、母はもっと楽に生きられたはず。
父は母を溺愛している。その愛情が母の生きる糧になっているし、同時に母を一条に縛る枷にもなっているのだ。

ーー愛情で相手を苦しめるなら、その愛は罪だと思う。
だから私は愛はいらない。
どうしても結婚が必要なら愛情では選ばない。一条が私にふさわしいと認めた相手を選ぶ。

その前に、私自身が一条の名に恥じぬよう、誰より優秀な医師にならなければならない。

……なれるのだろうか。


不安や焦りが毎日とめどなく込み上げてくる
それはイライラとなって表面化し、結果、母にぶつけてしまう。なんとか止めなければと思っても自分ではどうにもならない。

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