罪か、それとも愛か
ほどなくして、この時間なら大学で授業を受けているはずの冬輝が、髪を振り乱して走って帰宅した。
いつも冷静沈着で穏やかな冬輝が取り乱している様子に、琴羽はやはり尋常じゃない事態なのだと実感する。
「車で病院まで送るから。夏姫、琴羽の荷物持って。
琴羽、歩けるか?」
琴羽の足が震えている。冬輝はそんな琴羽の体を力強く支えた。
冬輝に包み込むように抱きかかえられて、足だけじゃなく体中が震えていることに気づく。
「嘘よね?ママが死んだなんて、ありえない。だって今朝もいつも通りだったのよ?」
冬輝の運転する車で病院に着くまで、琴羽は自分に言い聞かせるようにつぶやいていた。
そんな琴羽の震える手を何も言わず夏姫がぎゅっと握っていた。