罪か、それとも愛か

二つ目の罪(冬輝に恋人を裏切らせた)


琴羽は冬輝の運転する車で夏姫と共に自宅に帰った。
父は葬儀社の用意した車で母と共に後から来る。
夏姫の両親は病院に残った。


「琴羽」
「たっくん?いぶちゃんも?」


自宅では、翔太のいとこの一条拓人(いちじょうたくと)夫婦が待っていた。
二人は琴羽が小さい頃から可愛がってくれ、一番信頼できる親戚だ。

日本経済の中枢を担う“一条グループ”は、各方面に企業が存在する。拓人は当主として巨大グループを束ね、辣腕を振るっていた。
妻のいぶきも優秀な弁護士として国際的に活躍している。

「来てくれたんだ。よかった。…花音は?」

花音(かのん)は拓人夫妻の8歳になる一人娘だ。

「花音は邪魔になるでしょ。家で留守番してる。心配いらない。
顔が真っ青だわ。琴羽ちゃん、あとは私たちに任せて、少し休んで」

いぶきが優しく琴羽の肩に触れる。
信頼する二人を見て、ほっとした。とたんに、足に力が入らなくなる。

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