罪か、それとも愛か



琴羽の唇は冷たかった。本当に血が通っているのか心配になるほどの冷たさ。

ーーこれはキスなのだろうか。まるで氷に触れているようだ。

唇を離し、冬輝の腕の中で小さく震える琴羽。

こんなに弱々しい琴羽は初めてだ。まるで巣から落ちた雛鳥のように、不安に震えている。


琴羽は夏姫や冬輝に多少のワガママを言うくらいはあっても、大抵の場合は何でも一人でこなせる子だ。
『一条の娘』としての矜持が甘えを許さないからだ。


そんな琴羽が一人で立ってもいられず冬輝にしがみつき、死に怯えて震えている。

ーーどうしたらいい。どうしたら琴羽を助けてやれる?

そんな葛藤が冬輝の胸をざわつかせていた。
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