罪か、それとも愛か


琴羽が冬輝の腕の中で震えながら顔を上げ、潤んだ瞳で見つめている。

冬輝にとって琴羽は妹と変わらない。『女』として見ることなんて、あるはずもなかった。だから唇が重なっても、震える体を抱き寄せても、そこに異性としての感情はない。

……はずだ。


たいていの琴羽の願いは叶えてやれた。
だが、今、琴羽の発した願いは冬輝の想定をはるかに越えた願いだ。
しかも、甘えや我儘ではない。命懸けで冬輝を頼り、縋っている。こんなことは初めてだ。

「…琴羽、お前…自分が何言ってるのかわかってるのか?」

「わかってる。でも他に頼れる人がいない。
冬輝。
私を女として見れないなら、部屋を真っ暗にして顔を見ないで。
肌と肌が触れて、生きてるって一番実感出来る、命を作る行為。
今の私には、何より必要な気がするの。
大事になんてしなくていいし、痛くてもいい。ただ、大人として生きる覚悟を刻みたい。
冬輝の体温を分けて」
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