罪か、それとも愛か


「出来ない。出来るわけない。
琴羽は俺にとっては家族同然だ。それに、俺にはカノジョだっている」

拒絶した冬輝の反応は、もっともだ。

優等生を絵に描いたような模範生。真面目で潔癖な冬輝のことだ、付き合っているカノジョがいながら他の女となんて出来ないだろう。
それも、兄妹のように育った琴羽相手なら当たり前の反応だ。

それでも冬輝に助けてほしかった。
彼の温もりで包んでほしい。心も体も、琴羽の一番深い所まで。

「そうだよね。……ゴメン」

琴羽は、そっと冬輝の腕の中から抜け出した。
それから服のポケットからスマホを取り出す。

「いっそ男なら誰でもいい。肌を合わせて、生きてる実感を与えてくれるなら。早く、早くしなくちゃ、体がどんどん冷たくなっていっちゃう。
大人にならなくちゃ。面倒なく、後腐れないような相手…」

今の琴羽にはこんな拙い方法しか思い浮かばなかった。
それでもなんとか冬輝の気持ちを変えたくて、震える手でスマホを操作し始めた。
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