罪か、それとも愛か


拒絶の言葉が、冬輝の心にトドメのように刺さった。

誰よりプライドの高い琴羽が、冬輝に弱味を全てさらけ出して虚勢をはっている姿が痛々しい。


冬輝は羽織っていた上着のポケットに手を入れた。
愛紗はデートのたびに求めてくるからと、昨日、ポケットに無造作に入れておいたものが指に触れる。


琴羽の体を守れる。
昨夜は使わずに済んだそれの存在が、冬輝の理性にヒビを入れた。


小さく震える琴羽の体をもう一度抱き寄せた。
冷たい体。
だが、柔らかくてか細い、間違いなく女性の体だ。


冬輝は琴羽のアゴにそっと手を添えて、その冷たい唇を指でなぞった。


琴羽の頬を涙が伝う。


「冬輝。
心は要らない。だから浮気じゃない。
軽蔑したって構わない。
罪の行為だと思って許せないなら、私のせいにして。私が全ての咎めを受けるから。
だから、お願い…私を助けて。私に生きる為の温もりを分けて…」


命を乞うような琴羽の言葉が、ついに冬輝の理性を壊した。

「琴羽だけじゃない。俺も命の温もりと重さを知りたい。
琴羽が大人になる覚悟を決めて、俺に助けを求めるなら、俺も覚悟を決める。
二人で秘密を共有しよう」
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