罪か、それとも愛か


「あ、お兄ちゃん!琴羽、大丈夫?」

冬輝が階下に降りると、忙しそうにお茶の準備をしている夏姫がいた。

「あぁ。だいぶ落ち着いた。今、少し眠ったから。こっちはどうだ?」
「ショウさんは放心状態。おじさん夫婦が全部やってくれてる。私は言われたことをやってるだけ」
「そっか。俺も手伝うよ。その前に普段着のままだから、ちょっと家に戻って着替えてくる」
「うん、わかった」


冬輝は一旦自宅に戻ると、自室へと急いだ。
一人になると、大きく息を吐いて床に座り込む。

夏姫に異変を感じ取られなくてよかった。
いつもと変わらない素振りをすることが、こんなに難しいとは思わなかった。


冬輝は自分の手のひらを見る。
琴羽の柔らかく冷たい体の感触が、手のひらに残っていた。
< 55 / 252 >

この作品をシェア

pagetop