罪か、それとも愛か
まるで血を吐くように告げた父。
どんなに忙しくても軽い性格で笑顔を絶やさない。そんな父がこんなに苦しんでいる姿は初めてだった。


「ママがいつも言ってた。洸平さんはスーパードクターで手術もすごく上手い。でもそれは、パパがサポートしてるから最高の力が発揮できるんだって。
パパはいつも適当で、フラフラして、遊んでるように見えるけど、それは努力を隠す天才だから。パパを尊敬してるって言ってたよ」

「…っ!」

父は、琴羽の手を握ったまま、椅子から転げ落ちそうなほど体を揺らした。慌てて琴羽は手を伸ばすがその重い体を支えきれず、一緒に倒れそうになる。

「翔太!大丈夫か」

琴羽ごと床に崩れそうな様子に、拓人が慌てて駆け寄り助けてくれた。

「…あぁ、大丈夫だ。生きてる」
「少し横になって休めよ、翔太」
「いや…寝れない。気を緩めると、死に飲み込まれてしまいそうだ」

生きることがわからなくなって生と死の狭間に揺れていた、さっきまでの琴羽と同じだ。

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